So-net無料ブログ作成

手紙 [小話②]

父さんが入院してから随分たつね。
最初はもう家に戻ることはないだろうと思って入院したけれど、すこぶる順調に回復しているよ。看護婦さんにも良くしてもらっていて、こっちにいたほうが良いくらいだよ。良くしてもらってるといっても、清にはまだ分からないだろうが、男女の仲という奴で、毎晩むつまじく過ごしているよ。だから、退院する頃には清の弟か妹も一緒に家に帰ることになるかもしれないね。
母さんにもそれとなく伝えてあるが、看護婦さんも家に一緒に住むことになると思うから、清の母さんが二人になると思っておいてくれたまえ。いつか弟がほしいと言っていたね。父さんは毎晩、その事を忘れずに看護婦さんと激しく男女の仲を深めているから、清の願いも叶うかもしれないよ。退院したら清と看護婦さんと母さんと四人で、隅田川に花見にでも行きたいものだね。
それにしても、また花見をしようなどと思えるとは父さんはなんて幸福なんだろう。弱り切っていた父さんをここまで回復させてくれた現代医療というのも、大したものだと思うよ。我が家からも一人、医療に従事するものを出したいものだよ。もちろん、これは強制ではないけど、進路に迷った時には思い出してほしい。
看護婦さんが来たので、今日の手紙はこれくらいにしようか。

看護婦さんが帰ったので追伸だよ
追伸
清も体には気をつけるんだよ。看護婦さんによると、若い時に運動をすると頑健な体ができるそうだから、近くの柔道場、たしか講道館といったか、あそこの加納先生は随分人物も良いようなので、通ってみたらどうだろう?
こうして入院してみてわかるけれど、健康が一番だよ。
それでは母さんによろしく。



共通テーマ:趣味・カルチャー

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。